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Mr.Tの出張レポート
ベトナム・タイ出張レポート その4

10月  またまた出張でございます。
今話題の(そうでもないか)ベトナムとタイでございます。
ベトナムとタイの両方に用事がございましたので、タイ国際航空でバンコク経由ホーチミンシティ行でございます。この便が便利なのでございます。乗り継ぎの待ち時間がやたらと長いのでございますが。決して運賃が安いからではございません。ANAなんかに乗りますと、「何でこんな高い飛行機の乗るのだ?」などと、ボスに怒られるからでもございません。便利なのでございます(しつこい)。ハイ。
 今回は同行者が3人おりまして、にぎやかな旅でございます。
男というか、おじさんばっかりでございますが。たまには、こう、小股の切れ上がったいい女と、こう、しっぽりとした出張に行きたいのでございますが。いえいえ、仕事でございます。こんなことを言ってはいけません。
お忘れください。
 人間も4人くらい集まりますと、必ずついていない人が1人いるものでございまして。おりました。この日も、ついてない人が1人。一番身体大きな人(横に大きいのでございますが)でございます。仮に林さんとしておきましょう。零細企業(従業員は林さんだけ)の社長さんでございます。今回が初めての海外出張でございます。張り切っております。
 同行者とは、成田空港で日曜の早朝に待ち合わせをしたのでございますが、林さんだけ息せき切って、大汗をかきながら駆けつけてまいりました(身体の大きい分、汗も異常に噴出してまいります)。地元の電車が、置石で止まってしまったそうでございまして、大きな荷物を引っ張って、(身体が大きいので)汗をかきかき登場したわけでございます。
 林さんの汗がひくのを待ちまして、無事シコウキ(今回も江戸っ子でえ)に乗り込みまして、出発でございます。
途中、「お客様の中で、お医者様はいらっしゃいませんでしょうか?」と、テレビなんぞでよく聞くフレーズのアナウンスが、流れてまいりました。「あっ、本当にこう言うんだ。」と感心しつつ、思わず手を上げそうになってしまったMr.Tでございました。不謹慎です。申し訳ございません。
 お医者さんがいたのか、はたまたいなかったのかは、はっきり致しませんでしたが、「急病人が発生いたしましたので、台北空港に緊急着陸いたします。by機長」のアナウンスとともに、シコウキ(まだ江戸っ子やってます)はどんどん高度を下げ、とうとう着陸してしまいました。窓の外には、沢山の軍用機がとまっております。日の丸の付いたのが。何機も。「わいは一体全体どこにおるのや。」(急遽関西人)と思って外を見ておりますと、オリオンビールの看板が目に飛び込んでまいりました。那覇だったんでございます。沖縄の。せんだみつおさんナハナハナハでございます(かなり古い上に不謹慎でございます。申し訳ございません)。
 波乱含みの出張の幕開けでございますが、2時間遅れでバンコク国際空港に到着いたしました。ここでベトナム行きのシコウキ(まだ江戸っ子)に乗り換えるわけでございますが、北千住駅の地下鉄日比谷線から東武線に乗り換えるのとは訳が違います。皆様御承知のことと存じますが、大きい荷物は、最初に飛行機に乗るときに預けてしまいます。預けるといっても利息は増えないのでございますが、とにかく、飛行機(普通に戻った)会社の人が、親切に荷物を積み込んでくれて、目的地まで持っていってくれるのでございして、乗り換えは手荷物だけを持っての移動と相成ります。アメ横の二木の菓子で買った、ポテトチップやお特用おつまみセットや駄菓子セットの満載となった段ボール箱を抱えての乗換えとは大違いでございまして、Mr.Tのようにとてもスマートなのでございます。
 バンコクの飛行場は、最近新しく出来上がったばっかりでございまして、とてつもなく大きくて、乗換えだけでも20分くらい歩かされます。北千住とは大違いでございます。成田空港は完全に負けております。北千住駅と成田空港を一緒にするなと、お叱りを受けそうでございますが、それくらい違うのでございます。
 訳のわからないことは、さておきまして。この「さて」っていうのはどこのことなのでございましょうか。余計訳がわからなくなる前に、一向4人はシコウキ(また江戸っ子に逆戻り)を乗り換えまして、つつがなくホーチミンシティに到着いたしました。
 時刻は現地時間夜の9時過ぎでございます。ここで、成田で預けました荷物を引き取らなくてはなりません。荷物はボコボコボコボコと、ベルトコンベアーの上に落ちてまいります。同行者2名とMr.Tの荷物はすぐに出てきたのでございますが、あと1人の荷物が待てど暮らせど出てまいりません。とうとう最後の荷物となってしまいました。まだありません。そうです。あの身体の大きい人の荷物が出てこないのであります。言い換えれば、林さんの荷物が出てこないのであります。あまり言い換えにはなっておりませんが。とにかく出てこないのでございます。時刻はもう10時近くでございます。
結論でございます。林さんの荷物がなくなりました。
 こうゆう時こそMr.T、慌ててはいけません。「面倒掛けやがって、このおっさん。」などとも考えてはいけません。いわんや「汗かくんじゃねえ。」なんては思ってもいけません。
荷物引き取り所の、落し物のカウンターに行きまして事情を説明いたします。落としたわけではないのでございますが、落し物カウンターでございます。カウンターには可愛いお嬢さんが座っておりました。みのさんのおっしゃるお嬢さんではございませんで、本当に若いオネーサンでございます。チャンネーでございます。下品でどーもすみません。
ここからはMr.T得意のイングリッシュでございます。

T:こんばんは。(とてもスムースなイングリッシュでございます)
ネ:お手伝いしてもいいですか?
T:私は今非常に困っている。ここにいる私の友人である林さんの荷物を、我々
  は見つけることが出来ない。貴殿に尋ねることが出来るのか否かを知るこ
  とを我々は欲している。
ネ:それは申し訳ない。荷物は何個か?
T:1個である。
ネ:どのような荷物であるか。外観を説明願いたい。
T:旅行用大型かばん(スーツケース)であり、色は灰色である。
ネ:その他に特記すべき特徴を備えているか。
T:灰色のリボンが取っ手に結び付けられている。
ネ:青色のリボンか?
T:いいえ、灰色である。リボンの表面に文字が印刷されている。
ネ:猫が描かれているのか?
T:(そろそろ面倒臭くなってきたので)そうだ。
ネ:本日は発見することは不可能である。この書類に泊まるホテルの名前を記
  入することを我々は貴殿に希望する。明日貴殿の友人の荷物を発見次第、
  貴殿の宿泊しているホテルに、荷物を運搬する。
T:貴殿がそのような行動をすることを、我々は容認する。
ネ:(ここは日本語で)ども、すみません。

Mr.Tは女性に、特に若い女性に(かーちゃん、すみません)素直に謝られたりすると、非常に弱いのでございまして、自分の荷物でもございませんので、「ノープロブレム! ノープロブレム!」
林さんが怖い顔でこっちを見ておりましたが、いいのでございます。オネーサンが悪いのではございません。ついてない貴方が悪いのでございます。
 その後、意気消沈する林さんとともに、ホテルに向かったのでございました。いいさ、いいさ明日があるさ。本日はこの辺で、お休みなさいでございます。
 続きは次の回でございます